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大人の水晶体は水晶体嚢(水晶体を包む袋)・皮質・核(皮質が硬化したもの)から構成されている。白濁した水晶体の核を超音波で乳化破砕して吸引除去し、皮質の処理を行った上で、温存しておいた水晶体嚢(水晶体を包んでいる袋)に眼内レンズを挿入する。今日では眼内レンズは折りたたみ、眼内レンズを挿入するためのインジェクタを使用する方法が開発され、切開創の幅も3mm以下なので点眼麻酔使用で無縫合手術を行うことが可能となった。また水晶体嚢を温存できない場合や水晶体嚢を支えているチン小帯(筋肉の繊維)が弱く、水晶体嚢を利用できない場合は、眼内レンズを縫い付けるまたは、前房内に挿入する場合もある。また手術自体の実時間も10~40分で終わり、いわゆる「日帰り手術」が可能となり、患者への負担が飛躍的に軽減した。しかし症状が進行してからの手術の場合、水晶体が固くなり過ぎて超音波で砕くのに時間がかかり、手術時間が延びる場合がある。1980年代から普及しはじめた眼内レンズを挿入する術式は、日本では1992年4月から保険適用となりました。 普及し始めから30年、日本での保険適用から20年近く経過しており、技術的には十分確立されたものとなっており、各地の個人経営の眼科クリニックでも年間数百件から1000件を超える手術をおこなっているほどである。特に日本では2mm前後の小幅切開と独自に工夫を凝らしたより効率的に短時間で安全な核の粉砕・乳化吸引術を行っているところもあり医療環境には恵まれている。 患者の体調や目の状態が良ければ、自己管理と通院が指示通りできることを前提に、点眼麻酔、小切開、無縫合手術を日帰り手術もしくは、短期入院で行える。
● 単焦点眼内レンズの場合: 全額保険診療ですので検査や術後の診療も含めの片目の自己負担総額は、3割負担の場合4万5千円から7万円と述べている医療機関が多い。高いところでは、聖路加国際病院の8万5千円だが、これは日帰り手術であっても術後の休息等のため1日分の個室費用(日帰り入院となる)が含まれているためのようだ。この点入院施設を持ってない医院は休息室を提供しても無料になっているはずなので安くなる。 また両目を同じ月に行うと、月当たりの高額医療費の上限を超えて差額が還付される場合があるので、計画段階で調べておくことをお勧めします。
● 多焦点眼内レンズの混合診療の場合: 東京歯科大学水道橋病院眼科の場合、自由診療部分のレンズと手術費用が片目32万円全額自己負担でさらに保険適用部分の手術前後の検査と継続診療は3割負担の人で2万円ぐらいのようだ。 高いところでは、自由診療部分が横浜市の深作眼科本院の49万円だが、高度な先進医療に関してそれなりの付加価値をつけているようである。両目で100万円前後になるので、費用対効果を良く考えて実施する必要がある。 先進医療認定医療機関で行えば手術以外の入院費・事前検査・術後の検査と治療が保険適用になるが、費用の大半はレンズ代金と手術費で全額自己負担です。
- 失明寸前になるまで待つ。 しかし超高齢での手術は患者の適応力の問題や、水晶体(直径約9~10mm)の核が硬くなりすぎて手術に時間がかかったり水晶体の核を分割・超音波乳化粉砕できない場合は切開幅が3mm以下ではなく10mmほどになり縫う必要が出ると乱視の悪化や感染症の確率が上がるそうである。また透明度が極端に悪いと眼内レンズの度の選択や眼底検査などができないか、しにくくなることに注意する必要がある。つまりぎりぎりまで待ちすぎると別のリスクが増えるぶん総合的には、かえってリスクが増える可能性がある。 目に病気のある人は、近くの眼科医に定期的に通い診療と相談を怠らないことが重要です。また時間と体力に負担のかかる、遠方の大病院に固執して気軽に正しいタイミングで診療できないのは本末転倒ですので、身近に眼科専門医の主治医を持つことをお勧めします。
- 生活や仕事に支障がでたとき。 たとえば運転免許の書き換えで矯正視力が両目の総合視力で0.7に達しないと思われるときは6カ月以上前から計画(手術の待ち時間で3か月・度数が安定するまで術後3カ月で合計6か月)。視力の低下により、転倒などの事故やその他の生活上の問題が起きた時、また認知症の加速になると思われるとき。
- QOL(生活レベルの改善)のため緊急性が生じる前に早めにやる。 両目をやる場合は、眼内レンズの度数を合わせて近眼鏡もしくは老眼鏡が不要な生活にできる。 単焦点レンズ使用でも、特に小さな字を読まない場合など生活のスタイルによっては全く眼鏡が不要になることもある。時間・費用・リスクを厭わないならば、自己責任で、多焦点眼内レンズンを選択してその上に角膜に対してレーシックで乱視と近視の調整を行うことも可能である。ほとんど自由診療なので両目で150万円ぐらいかかると思われる。この際には、症例数の多い信頼できる医療機関で良く相談の上やるべきである。
角膜内皮質細胞数: 目のいちばん外側にある約0.5mm厚の角膜の内側の一層を構成する6角形をした細胞膜層です。眼内に流れる液体の房水に接触し角膜の栄養・水分補給をする。正常値1mm角内2700~3000個であるが生涯その細胞数が増えることはなく何らかの原因により細胞の一部が破損するとその周りの細胞が大きくなり隙間を埋める形になるため総数はレーザー手術や障害のあるたびに減っていく。300~500個ぐらいになると透明性が失われて角膜移植が必要となる。白内障手術では約5~10%の角膜内皮質細胞数が減るので、1mm角あたり1000個以上あれば手術可能とされている。(日本白内障学会)この細胞数がぎりぎりの患者は難症例となるので十分慎重な対応が求められる。近眼・乱視矯正のレーシック施設で角膜手術を受ける場合は内皮質細胞数減少に関して納得のいく説明を受けるべきです。